売家と唐様で書く三代目――という江戸時代の川柳がある。三代目が家を潰すというジンクスについて書かれたもので、初代は一生懸命に財を築くが、三代目となると財を使うばかり、とうとう家を売ることになり、中国風の洒落た文字で「売家」と書く滑稽さを皮肉った句だ。これに似たジンクスが映画にもある。シリーズ三作目はおもしろくない、という三作目のジンクスだ。
映画『ハムナプトラ3/呪われた皇帝の秘宝』(08年、アメリカ)は、まさに三作目のジンクスというべき作品だろう。監督は前2作から変わってロブ・コーエン、出演はブレンダン・フレイザー、ジェット・リーほか。舞台は前2作のエジプトから中国に移り、主人公のリック・オコーネル(ブレンダン・フレイザー)は、約2000年前に妖術師(ミシェル・ヨー)によって呪いをかけられ陶器にされてしまった皇帝(ジェット・リー)と対決する。皇帝の過去について描かれた出だしは良かった。だけど、時代が現代になったところで異常にダルくなってしまう。テンポは悪いし、ストーリーを引っ張るものが何もない。いつになったら皇帝が甦るのだろう。ただただ、それを待っている状態だ。だけど、期待は裏切られる。2000年も封じ込められていたのだから、その怨念や憎悪は相当なもののはず。だけど、それがあまり感じられないのだ。ここはCGでもなんでも使って、ど派手に演出してほしかった。皇帝とともに甦った兵士たちと、皇帝によって葬られた民衆たちとのバトルは見ごたえがあったが、肝心のジェット・リーとミシェル・ヨーとの対決は完全に肩透かし。これはもう監督が悪いとしか言いようがない。まさに三作目のジンクス。
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