あなた方に言われたくない

鳩山首相は所信表明演説に対する代表質問において、谷垣自民党総裁からのツッコミに対して「あなた方に言われたくない」と切り返した。この言葉はいまの民主党のスタンスをよく表している。財源はどうするのか――自民党は選挙前から民主党のマニフェストにそう疑問を投げかけていた。行政のムダを洗い出せば財源は確保できるという話だったわけだが、フタを開ければやっぱり難しい。自民党にしてみれば、そら見たことか!というところだろう。谷垣総裁は「破綻のシナリオ」と表現した。だけど民主党にしてみれば、こんな状況にしたのは「あなた方」だろうという思いがある。僕らはこの状態をどう見ればいいだろうか。

以前「マニフェストの罠」ということを書いた記憶があるのだけど、この状態はまさにこう呼ぶのがふさわしい。鳩山首相は「(公約は)国民との契約であり必ず実現する」とし、達成できなかったときには「政治家の責任を取る」と明言した。そう言うのであれば当然、自民党は公約が実行されたかどうかをチェックし、不一致があればツッコミを入れるだろう。だけど、僕はすごく違和感を感じる。たしかに先の選挙では民主党に票を入れたけれど、マニフェストの実現を契約した覚えはないからだ。マニフェストには多くのことが書かれていた。国民はそれを読んだうえで民主党に政権を任せたわけだが、そこに書かれていた項目を1つひとつチェックし、すべてに丸を付けたわけじゃない。たとえば公約に書かれていた八ツ場ダムの中止が実行されなかったからといって鳩山首相が辞職すると言ったとしたら、民主党に投票した多くの人は、いや、べつにそれで辞めなくても――と思うだろう。とにかくマニフェストを実現することがミッションだと思っているのだとしたら、それを「マニフェスト原理主義」と呼びたい。僕らはマニフェストを実現してほしいわけではないのだ。日本を良くするためであれば、公約で謳われたことが実行されなくても、国民は――すくなくとも僕は、まったく構わない。だからそろそろ、マニフェストがどうのこうのという話はやめたらどうだろうか。

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