かつてはヒーローだった――映画『レスラー』

プロレスは時代とともに大きく変わってきた。1953年にテレビ放送がはじまると力道山の人気とともにプロレスは国民的な娯楽となり、その後もアントニオ猪木やジャイアント馬場などの活躍もあり、1980年代まで人気を博した。しかし90年代になるとそれまでゴールデンタイムで放映されていたテレビ中継が深夜枠へ移動し、またK-1や総合格闘技などの人気もあり、しだにマイナーな存在になっていく。そして現在では「アメトーーク!」などのテレビ番組で芸人たちによってネタ的に扱われるようになってきた。プロレス自体が変わったわけではないが、それを見る人たちの目が変わってきたのだ。

レスラー スペシャル・エディション [DVD]

映画『レスラー』(08年、アメリカ)は、あるプロレスラーの引退を描いた作品。かつて人気レスラーだった主人公だが、いまではすっかり落ちぶれ、アルバイトをしながらプロレスを続ける生活を送っていた。ある日、長年のムリがたたって心臓発作を起こし、引退を決意する。それを機に長年疎遠だったひとり娘との仲を修復しようと試みるがうまくいかない。そして自暴自棄になった主人公は――。監督はダーレン・アロノフスキー、出演はミッキー・ローク、マリサ・トメイほか。不器用だがひたむきでストレートな主人公と、彼を取り巻く人たちの人間ドラマはとてもすばらしいが、なによりプロレスの本質をここまで描いた作品は他にないのではないか。プロレスをよく知らずに八百長だショーだという人がいるが、そんな人はこれを見ればプロレスのなんであるかがよくわかるだろう。それにしてもミッキー・ロークはいい仕事をした。傑作。おすすめ。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です