この登場シーンがすごい――映画『グエムル-漢江の怪物』

怪獣映画といって思い浮かぶのは日本映画だろう。ゴジラシリーズ、ガメラシリーズ、それにラドンだのバランだの、挙げればキリがないほど多くの怪獣映画が作られている。海外で思いつくのはキングコングくらいで、宇宙からやってくるエイリアンや人間が変身するモンスターを扱った作品は多いけれど、怪獣はあまりない。この違いを歴史や宗教から考察するという試みは魅力的だが、いま書こうとしているのはそういうことではなくて、お隣の韓国にとんでもない怪獣が現れたということだ。

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映画『グエムル-漢江の怪物』(06年、韓国)は、韓国で作られた怪獣映画。韓国のとある研究所からホルムアルデヒドが下水に廃棄され、それがソウルを流れる漢江に流入、グロテスクで凶暴な怪物が発生し、人びとを襲う――。監督はポン・ジュノ、出演はソン・ガンホ、ペ・ドゥナなど。印象的なのは怪物の登場シーン。映画がはじまってわりと早い段階で登場するのだが、これがとにかく強烈なのだ。このシーンだけでこの作品を観る価値があるといってもいい。僕は5回ほど巻き戻して見た。このあとのストーリーは、主人公の娘が怪物にさらわれ、一家総出で助け出す――それだけ。途中だらだらするし、笑うところなのかしんみりするところなのかよくわからない場面があったり、ラストもいまいちなんだけど、まあ怪獣映画というのはだいたいこんなものだ。ただ、やっぱり日本の映画とはちがうので、そういうズレはじゅうぶん楽しむことができるだろう。この怪物が韓国にとってのアメリカだということは誰が見てもわかることだが、そういう見方をするのも一興。日本のゴジラは太平洋戦争で命を落とした日本人だといわれたりもするけど、怪獣というのは、国の中にたまった澱のようなものが獣の形として現れたものなのかもしれない。

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