パクってるかもしれない――映画『シークレット・ウインドウ』

作曲をしていて、いいフレーズができた!というとき必ず、でもこれ、なにかのパクリじゃない?と不安になる。自分でいいと思うものほど、この耳障りの良さは過去に聞いたことがあるからにちがいない――と思うわけだ。で、実際、よくよく考えたらたしかにパクっていたということがよくある。故意にパクるのはさておき、無意識にパクるというのは、音楽にかぎらず、すべてのクリエイターにとって恐怖なのではないだろうか。

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映画『シークレット・ウインドウ』(04年、アメリカ)は、そのような恐怖を描いている。ある小説家のもとにひとりの男が訪ねてきて、私の小説を盗作しただろうと詰め寄る。小説家はそれを否定して追い返すが、男は自分が書いたという原稿をおいていった。読むとたしかに瓜二つ。その後も男は執拗にやってくる。やがて小説家の愛犬が殺されるという事件が起きた。その後も続く事件。しだいに小説家は憔悴していき――。スティーヴン・キングの小説『秘密の窓、秘密の庭』を映画化したもので、監督はデヴィッド・コープ、出演はジョニー・デップほか。話は「盗作」をめぐって進んでいくのだけど、ストーリーの軸となるのはこの小説家と妻の夫婦関係で、ふたりは離婚の調停中にある。盗作を否定する証拠は別居中の妻のもとにあるが、妻はすでに別の男と同居中。さらに小説家は過去に実際に盗作をしたことがあって――という感じだ。原作は読んでいないからわからないが、映画としては残念ながらまったくおもしろくない。サスペンスとしては緊張感に欠けるし、人間ドラマとしては薄っぺらい。オチも凡庸。ただジョニー・デップはいい演技をしているので、ファンは楽しめるだろう。ファンじゃなければ見る必要はない。

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