ブラックジョーク化する世界――映画『チーム★アメリカ/ワールドポリス』

【ブラックジョーク】ブラックジョークとは(black joke)とは、社会的に歓迎されない「悪趣味な」ジョークのこと。ジョークの面白さを残しつつネガティブ、グロテスクなどの要素を取り入れたジョーク。(略)一般的にあからさまに話題に出すのはタブーとされる、死・病気・障害・性行為・近親姦・人肉食などをネタにしたものを指すことが多く、聞き手に不快感を与えたり差別的という批判を受けかねないため、公的な場では避けられるのが普通で、内輪受け的な意味合いが強い。

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映画『チーム★アメリカ/ワールドポリス』(04年、アメリカ)は、ブラックジョークという言葉がピッタリな作品。全編にわたってマリオネット(糸繰り人形)が使われ(「サンダーバード」や「ひょっこりひょうたん島」を想起されたい)、CGは一切なし、職人たちの技術とアイディアによって驚くべき映像世界が展開される。監督・脚本は『サウスパーク』を製作したトレイ・パーカーとマット・ストーン。国際警察「チームアメリカ」によりパリに潜むテロリストたちはパリの街もろとも壊滅されたが、北朝鮮の独裁者が大量破壊兵器をテロ組織に売り渡そうとしているという情報をキャッチした彼らは、ブロードウェイ俳優をリクルートし、おとり捜査を実行するが――。チームアメリカによる無茶苦茶な破壊活動、人形同士によるセックスシーン、大量のゲロ、グロテスクな殺人シーン、どう見ても金正日にしか見えない独裁者、ハリウッド映画をコケにしたストーリー展開など、とにかくブラックジョークのオンパレード。演じているのは人形だし、バカバカしい内容なんだけど、見ているうちに、でも現実もこんな感じだよね――と思えてくるのがこの作品のすごいところ。徹底的に「作りもの」なのだが、表現されているのは「リアル」なのだ。おもしろいけど、笑いごとじゃない。映画の力と可能性と感じさせてくれる作品。強くおすすめ。

◆公式サイト http://www.teamamerica.com

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