映画の予算とおもしろさ――映画『テープ』

上映中の映画『アバター』を観て、これまでとはまったく違う映像世界に「映画が変わった!」と感じた人は多いだろう。たしかに『アバター』は映画史においてメルクマールとなる作品だが、今後の作品がみんなこうなるわけではもちろんない。表現方法が違うとか技術レヴェルが高いとかいうそのまえに、投入したコストが桁違いなのだ。構想14年、製作期間4年、制作費2億7300万ドル。ふつうの作品でこれだけのコストはかけられないだろう。マネーをつぎ込んでいい作品ができるのはあたりまえだ——そういう意見もあるかもしれない。たしかにそういう側面もある。もしこの作品が従来の2D作品だったら、これほどまで話題になることはなかっただろう。だけど、誰でもこれだけお金をかければおもしろい作品が作れるというわけでもない。まあ、凡庸な話で申し訳ないが、ようは監督次第ということだ。

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映画『テープ』(01年、アメリカ)は、リハーサル3週間、撮影1週間、登場人物はたったの3人、舞台はモーテルの一室——という驚くほど手軽に作られた作品。制作費の情報は見つけられなかったが、出演者のギャラをのぞけば超低コストだろう。監督はリチャード・リンクレイター、脚本・原作はステファン・ベルバー、出演はイーサン・ホーク、ロバート・ショーン・レナード、ユマ・サーマン。モーテルの一室でふたりの男がハイスクール時代の三角関係のことでモメ、そこにその女がやってきて――。設定もストーリーもいたってシンプル。ただ男女3人の会話だけで展開されていく。前半は男だけでダラダラしている感があるが、後半、女がやってきてから一気に緊張感がアップ。言った/言わない、やった/やらないのくだらない口論なのだが、3人の心情がひしひしと伝わってくる。まさに映画の醍醐味。近年の大作ブームに一石を投じる作品だろう。ユマ・サーマンの演技も見どころ。おすすめ。

「映画の予算とおもしろさ――映画『テープ』」への2件のフィードバック

  1. とにかくユマ・サーマンがいいんです。キルビルのユマ・サーマンもいいですが、僕はこの作品のユマ・サーマンのほうが好きです。惚れました。

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